ジェネラルマーケティング/ダイレクトマーケティングいずれに特化するか

マーケティングは大きく分けてジェネラルマーケティングダイレクトマーケティングの2種類があると言われます。企業の市場調査から商品開発、そして流通支援、小売店の店頭販売支援までの一連の流れの戦略立案と実施を担うのが前者のジェネラルマーケティング。間に卸売・小売店を挟まずにTV、ラジオ、新聞、Web等の通信販売で商品を顧客に対して直接取引をして販売していく場合はダイレクトマーケティングという分け方です。

Webプランナーに限らず、プランナーであれば基本的にはそのキャリアの中でジェネラルマーケティング/ダイレクトマーケティングの両方に関わっていくことになると思いますが、ある程度の段階でいずれかに比重を置き、特化することを選択する場面に出会うのではないかと思います。それは会社自体の戦略としてダイレクトマーケティングに特化したチーム編成を行って、通販案件を中心に扱うといったようなケースもありますが、個人としてもいずれかを得意分野としてそちらのスキルや経験を強化していくといった選択を行う必要があるのではないかと思います。ジェネラルマーケティング/ダイレクトマーケティングにはもちろん両方に通用する考え方、手法、経験もありますが、ディテールも含めるとかなりの違いがあるように思います。


ジェネラルマーケティングの場合、単に販売の最終地点だけを見ていれば良いわけではなく、製品ブランドや企業そのもののブランド、そしてそれに関わる様々な部署、立場の人達全ての考え方、行動に深く関わる必要が生じます。マーケティング担当者の立場からこの商品は本来このカテゴリーで売ったらよいのではないか、という方針や戦略があったとしても、小売店に対して営業を行う方、小売店の店主の方はこれまでに培ってきた経験や実感、実績等から独自の戦略や方針を持っています。にも関わらず「営業を担当される方はこう考えているであろう」という想定でジェネラルマーケティングのプランを進めていくと、必ず齟齬が生じることになります。そもそも自分が経験、実感したことのない部署、立場の方の考え方や行動は想像はできても正確に当てることは困難であるためです。できるだけ多くの利害関係者に何度もヒアリングして様々なことを聞き出しながら現状を把握した上でなければ、本来非常に多くの方に動いて頂かなければ進行しないジェネラルマーケティングに関わる施策をスムーズに行うことはできません。もちろん様々な利害調整の過程でエンドユーザーが見えなくなっては本末転倒ですが。
これらはジェネラルマーケティングの難しさであると共に、逆にプランナーとしての遣り甲斐にも繋がるものであり、様々な立場の利害関係者の方と密にやり取りしながら仕事をしたい人に向いているといえます。


一方、顧客との間に入る利害関係者が実質的にはほとんどおらず、その代わりにエンドユーザーとの窓口としてダイレクトに関わりながら販売企画の立案と実施、時には運営までを行うのがダイレクトマーケティングです。こちらは間で様々な調整やコントロールを行う仕組みが薄いこともあり、施策の良し悪しの答えが出る期間が短く、急速かつ急激に結果が出ます。そのため、施策が間違っていたらすぐに直すというスピードが要求される分野でもあります。何度か使われてきた手法として、通販のテンプレートとしてA、B、C案の3案などを用意しておき、それぞれを一定期間ずつ使用し実際の売り行きを見て、最も販売実績の高かったデザインや構成、コピーをその後の基本テンプレートとして採用する、という実効果測定をしながら作り込みを行う、という手法もあります。ダイレクトマーケティングでは顧客の目に留まる要素全てが重要で、コピーの順番、デザインのディテール、写真の並び方、解像度等かなり細かい部分に気を配っていくことが重要となります。
豊富な運用経験から、「これをやると売れ行きが上がる」「これをやると売れ行きが下がる」といった鋭い感覚のようなものが即座に働くかどうかも、ダイレクトマーケティングに関わる人の必須スキルになると思います。


これらジェネラルマーケティング/ダイレクトマーケティングはもちろん両方そつなくこなせればベターなのですが、同じマーケティングという名前がついていてもやることや求められることにはかなりの違いがあるように思います。また、仕事を頼む人の立場からするとやはり得意な領域と方法論を持っていて、この案件ならこの人に頼めば間違いない、という人に頼みたいのではないでしょうか。もしどちらかに特化して自らの得意分野とし、安心して頼まれる状態を作り出したいプランナーの方やプランナー志望の方は、自分で経験する案件を選ぶ機会のある時や、勉強する時に、どちらに特化したいかというキャリアパスを念頭に置きつつ進めていくと良いのではないかと思います。